環境保護も視野に総合的な政策がスタート

サンシャイン計画は、1993年、省エネルギー技術の研究開発を目指す「ムーンライト計画」と統合して、「ニューサンシャイン計画」に改組されます。

この頃、地球温暖化問題がクローズアップされ始めており、代替エネルギーや省エネに関する取り組みは、温室効果ガスを削減する効果もあることから、環境問題に対しても有効だとみなされました。そこで、エネルギーと地球環境保護という2つの目標に取り組む計画として改められたのです。

1994年には、総合エネルギー対策推進閣僚会議で「新エネルギー導入大綱」が策定されました。これは、国全体として再エネを含む新エネルギーにどのように取り組むかという指針を示したものです。この大綱で初めて、再エネを含む新エネルギーや、コージェネレーションなどエネルギーの新しい利用方法を、国として積極的に導入すべきであるという指針が明確に示されました。

1997年、京都議定書が策定された年には、「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(新エネ法)」が施行。太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマスエネルギー、天然ガスコージェネレーションなどの新エネルギー導入促進がさらに加速することとなります。

太陽光発電の普及の取り組み

再エネの中でも、技術開発により低コスト化と高効率化が図られた太陽電池は、さらなる普及に向けた取り組みが図られます。

その一助となったのが、電力の買い取り制度です。1992年の「太陽光発電による余剰電力の販売価格での買電制度」で、電力会社による自主的な取り組みとして始まりました。太陽光発電が需要を上回って発電した場合に、余った電力を、一般家庭向けの電力販売価格と同じ値段で電力会社が買い取るというものです。余剰電力を売ることができれば、太陽光発電設置にかかったコストをより早く回収できる可能性があることから、太陽光発電設置の促進につながりました。

この買い取り制度を実現するためには、発電から送電・配電にいたるまでの電力網「電力系統」に、太陽光発電を接続することが必要になります(系統連系)。こうした連系を可能にするしくみやガイドラインづくりが、1992年から1993年にかけて行われました。

また、太陽光発電を設置する住宅には、補助金も交付されることとなりました。こうしたさまざまな取り組みにより、一般家庭での太陽光発電の導入がだんだんと進みはじめました。それまでの再エネの世界は、欧米中心、風力主流でしたが、これらの施策の結果、1900年代末から2000年代初頭にかけて、日本は太陽光発電導入量および太陽電池生産量で世界一の地位を獲得するまでにいたります。2000年代初頭には、日本は世界の太陽電池の50%以上を供給する世界最大の生産拠点となりました。

一方、風力発電についても、1980年代~1990年代に、設備の大型化や市場の拡大が進み、発電コストが大幅に低減します。詳しくは、また後日ご紹介する予定です。

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